損害賠償金を受取った場合、支払った場合の消費税の課税関係〜運送業者が事故・商品の損害
こんにちは。
和歌山市の女性税理士、内西です。
今回は損害賠償金を受け取った場合の消費税の課税関係を解説したいと思います。
損害賠償金の課税関係はややこしいです。
例えば、Rabit社が、商品の運送を外注しているとしましょう。
商品の運送を請け負っている馬速社がRabit社の商品を積んだまま事故をおこしてしまい、Rabit社の商品が損害を受け、
その商品を馬速社が、買い取ることになった。
(Rabit社も馬速社も個人事業者とする)
損害賠償金の内訳は、
・商品に対するもの
・事故後商品のチェックなどに要した作業代
この損害賠償金に消費税がかかるのかどうか?
商品に対するもの
消費税が課税されるのは
「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」
に対してです。
ですのでこの場合
商品に対するものの部分
は、その商品が、
「全く使い物にならなくなっていて破棄するしかない」
場合と
「修繕すれば売り物になる」
場合で取り扱いが変わってきます。
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「全く使い物にならなくなっていて破棄するしかない」場合
Rabit社
商品に対するものの損害賠償金は消費税の不課税となります。
なぜかというと、その商品の価値に対して受け取ったものでなく、その損害賠償金には対価性がないからです。
消費税の課税対象外の取引となります。
馬速社
事業主に故意又は重過失があるかないかで変わってきます。
・事業主の故意又は重過失があった場合(過積載など)
・・・そもそも所得税の経費にすら算入できません。もちろん仕入税額控除もできません。
支出時はタダノ「事業主貸」になりますね。
・事業主の故意又は重過失がない場合
業務遂行上である場合(今回は運搬中なのでこちらに該当)
必要経費算入できます。ですが対価性がないので、消費税は不課税です。
業務遂行に関連しない行為に起因するもの
(荷物を積んだままのトラックで、従業員が無断で乗り回している最中に事故をしたなど)
・やむを得ず、雇用主として支出したものについては必要経費算入(家族従業員は除く)
・上記以外の場合で支出したもの
・・・必要経費に算入すらできません。もちろん仕入税額控除できません。
(家族従業員の起こした損害について支払った場合はどんな場合も必要経費算入不可)
必要経費に算入できる場合において消費税の課税関係は
対価性がないので、消費税は不課税
ポイント👆
受け取る側が不課税なら、支払う側も不課税です!!
「修繕すれば売り物になる」場合
以下参照 👇 👇
今回(1)に該当します。
商品が使い物になるということで、商品を売っているのと同じではないかということです。
なので、名目は「損害賠償金」であってもその実質は、商品を販売し対価を受け取ったということになり
消費税の課税対象になります。
Rabit社
課税売上
馬速社
先ほど、不課税とされた場合においては課税仕入に該当するということになります。
事故後商品のチェックなどに要した作業代
Rabit社が損害を受けた事後処理に要したこれらの作業代は
馬速社に対する役務の提供でも何でもなくただの手間です。
全く迷惑な手間になります。
対価性が認められないので
消費税の不課税となります。
Rabit社
消費税の不課税
馬速社
消費税の不課税
まとめ
損害を受けたものが棚卸資産だった場合には、名目が損害賠償金であっても
課税売上になる場合があります。
その商品を相手方に引き渡し、
かつ
商品がまだ使い物になる
のであれば課税売上に該当します!!
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