個人事業主・報酬が源泉徴収される場合と支払う報酬を源泉徴収するかについて
こんにちは。
和歌山市の女性税理士、内西です。
今回は報酬の源泉徴収について解説します。
源泉徴収が必要な報酬については法律で定められています。
源泉徴収をする(される)報酬を支払う(受け取る)場合について解説します。
源泉徴収をされる報酬を受け取る場合
例
個人事業主のうさ美さん
講師の仕事で講師料としてA株式会社から
講師料 22,000円
から
源泉徴収税額 2,042円
を控除した
19,958円
が普通預金に入金された。
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解説
源泉所得税の計算
20,000円×10.21%=2,042円
100万円を超える報酬については100万円を超える部分については倍の20.42%になります。
(報酬-100万円)×20.42%+102,100円
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
普通預金 | 19,958 | 売上 | 22,000 |
事業主貸(受取報酬の源泉所得税) | 2,042 |
注意点は
・源泉所得税の計算をするときには消費税抜きの金額に率(10.21%又は20.42%)を乗じること
・仕訳の際、売上は控除された源泉所得税込みの金額で計上すること
・前払の源泉所得税は事業主勘定で処理
・控除された源泉所得税をきちんと管理しておくこと
(確定申告の際、前払した源泉所得税として、申告納税額から控除するため。控除しないと税金の2重払いになってしまいます!!)
源泉所得税が報酬から控除されていない!!間違えられているのか?
たまに源泉所得税が控除されていない場合があります。
源泉所得税の金額が違うような場合もあります。
どうしよう!!
と、一瞬思いますが、
なければなしとして処理し、間違った金額でも控除されているなら、その金額を前払の源泉所得税として、相手に合わせて処理しましょう。
源泉所得税が控除されていない場合としては
例えば、報酬の支払先の事業者が、個人事業主で、従業員を雇っていないために、源泉徴収義務者ではない場合です。
この場合その相手の事業主さんは、源泉所得税を預かっても、税務署に納める機会がないことから、源泉徴収しませんし、する義務がないのです。
控除されている金額が違っていても、控除された金額を先払いの源泉所得税の金額として処理しましょう。多くても少なくても確定申告で精算されますので気にすることはありません。(あまりにも多い金額を徴収されていたりした場合は相手に尋ねてみてもいいかもしれませんが・・・)
相手の企業さんは預かった源泉所得税の金額をそのまま納付しているわけですから、損も得もありません。税金を預かりそのまま納付する通り抜けです。
源泉徴収をする報酬を支払う場合
自分が個人事業主で従業員を雇っていなくて源泉徴収義務がない場合
支払う報酬から源泉所得税を差し引く必要はありません。
そのまま支払います。
例外:ホステスに支払う報酬がある場合には源泉徴収義務者になります。又、雇っている従業員がいるが、パートなどで、源泉徴収する税額がない場合は源泉徴収義務がない場合には該当しません。つまり源泉徴収義務者になりますので、この報酬にかかる源泉所得税を徴収して税務署に納付しなければなりません。
参考👇👇
所得税法基本通達204-2
204-5 法第204条第2項第2号に規定する「第183条第1項(給与所得に係る源泉徴収義務)の規定により給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人」には、実際に徴収して納付する税額がない者も含まれることに留意する。この場合において、法第204条第1項各号に掲げる報酬、料金等の支払をする者が当該個人に該当するかどうかは、当該報酬、料金等を支払うべき日の現況により判定する。
所得税基本通達逐次解説204-5(一部抜粋)
ホステス等に対する報酬・料金以外の報酬若しくは料金、契約金又は賞金については、その支払者が個人である場合には、給与について源泉徴収義務のある個人が支払うものについてだけ源泉徴収をすることとされている。(法204②二)これは、給与について源泉徴収義務のない個人は報酬、料金等の源泉徴収事務を行うことが困難であると考えられるからである。・・・・
源泉徴収義務者の場合
報酬を支払う相手が個人の場合
源泉徴収し、その金額を税務署に納付します。
例
当社は
個人事業主のウサ吉さんへ
デザイン料として110,000円
から
源泉徴収税額 10,210円
を控除し
99,790円を普通預金から振り込んだ
振込手数料550円は当社の負担である
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
外注費 | 110,000 | 普通預金 | 99,790 |
預り金(源泉所得税) | 10,210 | ||
雑費 | 550 | 普通預金 | 550 |
翌月10日に
給料にかかる源泉所得税100,512円とともに上記の10,210円の合計110,722円を現金で納付した。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
預り金 | 100,512 | 現金 | 110,722 |
預り金 | 10,210 |
報酬を支払う相手が法人の場合
源泉徴収の必要はありません。
ややこしいですがそもそも法人に支払う報酬は源泉徴収する報酬には該当しません。
法人には所得税ではなく法人税が課せられますので、源泉所得税はこの場合関係ありません。
注:馬主である法人に支払う競馬の賞金については源泉徴収が必要な報酬になります。
・・・けど、滅多にあるものではありません。自分は見たことがありません・・・
まとめ
源泉徴収すべき報酬を受け取る場合と支払う場合について簡単に解説しました。
個人事業主の場合
支払うとき:自分に源泉徴収義務がないとき(従業員がいない場合など)
⇒源泉徴収する必要なし
自分に源泉徴収義務があるとき
⇒相手が個人なら源泉徴収
⇒相手が法人なら源泉徴収必要なし
受け取るとき:源泉徴収してもらう必要あり 源泉徴収税額については確定申告にて精算する必要あり
源泉徴収されていない場合はそのまま処理
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