事業専従者控除・青色事業専従者給与について

個人事業者が、生計を一にしている配偶者や娘、息子(15歳未満は駄目です)に自分の仕事を手伝
ってもらった対価として、給料を支払う。

こういったことはよくあることだと思います。

この場合、支払ったお給料分、個人事業主さんの事業所得の必要経費としてすべて算入できるでし
ょうか? 

答えはNOです。

所得税法には、「事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例(所得税法56条)」とい
う規定があって例えばお父さんの事業を手伝った娘にお父さんが支払った給料は、お父さんの事業
所得の経費に算入することはできず、事業をしている店舗の土地の名義人である同居のおじいちゃ
んに払っている地代も経費に算入できません。
代わりにおじいちゃんが毎年支払っている固定資産税は、お父さんは支払ってはいないけれど、お
父さんの事業所得の経費に算入することができるというものです。

この法56条の例外が 事業専従者控除・青色事業専従者給与 です。

おじいちゃんに支払った地代は、経費にすることはできないけれど、ある一定の要件を満たせば例
外的に、娘に支払った給料は、必要経費にすることができます。

お父さんが、青色申告者の場合

青色事業専従者給与を認めてもらうためには、税務署に適用を受けようとする年の3月15日までに
「青色事業専従者給与の届出書」を提出しなければなりません。(新たに専従者を有することとな
 った場合には、従事するようになってから2月以内に届出書を提出するものとする。)

提出すればいくらでも支払えるのかというとそうではありません。

  ①上記の届出書に記入された金額の範囲内でありかつその支払方法に従って支払われたもの
  であること(未払いは認められません) 

  ②下記に照らして、その労務の対価として相当と認められるもの
  ・青色事業専従者の労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度 
  ・他の使用人が支払を受ける給料の状況及び同業種の事業で支払われる給料の状況
  ・その事業の種類及び規模並びにその収益の状況
     (所得税法57①所得税施行令164①)

つまり、あまり働いていないのに高額すぎる給料である場合は駄目ということですね。
高額すぎる部分の金額はお父さんから娘に対する贈与とみなされます。恐ろしいですね。

お父さんが、白色申告者の場合

下記①及び②に掲げる金額のうちいずれか低い金額(事業専従者控除額)を必要経費とみなす。

①次に掲げる事業専従者の区分に応じそれぞれ次に定める金額
 イ その居住者の配偶者である事業専従者  86万円
 ロ イに掲げる者以外の事業専従者  50万円  
                     

②その年分の当該事業にかかる不動産所得の金額、事業所得の金額または山林所得の金額(事業
専従者控除額を引く前の金額)を当該事業にかかる事業専従者の数に1を加えた数で除して計算し
た金額   (所得税法57③)

   

 なんだか分かるのか分からないのか微妙な感じです…
①は分かります。今回は娘なので50万円です。問題は、②です。
②の金額と比べてどちらか安い金額が 事業専従者控除額になるようです。

 ②の金額を求めていきましょう
この控除額を引く前のお父さんの事業所得の金額(いくらか決まってないから引きようがないので
引く前の金額なのは当然ですが)
例えば事業所得の金額(利益)が120万円としましょう。
「当該事業にかかる事業専従者の数」 娘一人なので「1」です。そこに「1」を足す。つまり「2」
で除する 
120万円÷2=60万円 ←これが②の答え

①と②を比べて安い金額なので
50万<60万円 ∴50万円←必要経費に算入できる事業専従者控除額

答えは分かったが一体どうして1をたした2で割るんだ?
なんか腑に落ちない感じです。

この足している「1」は事業主本人分です。事業専従者控除を引くなら余った利益のうち専従者と事
業主と半分ずつ山分けしてね。専従者にやってしまって事業主ゼロは認めませんよ。という理由でこ
のような規定になっているようですよ。

ところで専従者控除額は実際払っているか払っていないかは関係なく認められます。青色とは違うと
ころですね。

そして事業専従者控除額、青色事業専従者給与ともに、もう一つ大事な要件があります。

「専従者」と言うだけあって、専らその事業に従事していることが必要です。

何をもって専らとするのか 以下の規定があります。

専ら事業に従事するかどうかの判定は、当該事業に専ら従事する期間がその年を通じて6月を超える
かどうかによる。ただし青色事業専従者給与の場合にあっては、当該事業に従事することができると
認められる期間を通じてその2分の1に相当する期間を超える期間当該事業に専ら従事すれば足りるも
のとする。(所得税施行令165①)

つまり一年を通じ半年は専ら従事していた、ということが大前提になります。

例えば
⑴今年は売上げも低くてお父さんに給料を払ってもらえるか不安になった娘が、5月からアルバイトを
 別にするようになった。
⑵会社員として働いていた息子が7月末に仕事を辞め10月からお父さんの事業を手伝うようになった。

この場合白色と青色ではどう変わってくるでしょう
白色の場合
⑴1月から4月の4月しか専ら働いていないため専従者にはならない
⑵10月から12月の3ヶ月しか専ら働いていないため専従者にはならない
青色の場合
⑴従事可能期間の1月から4月までの4ヶ月間のうち半分の2ヶ月以上専ら従事していたかどうかで
 専従者になる
⑵従事可能期間の8月から12月の5ヶ月間の半分の2月半、専ら従事していたかどうかで専従者に
 なる。10月からなら3ヶ月専ら働いているので専従者として認められる。

青色事業専従者給与はよく知られていることだとは思いますが、白色の場合も実は似たような規
定があるんです。支払っていなくても認められるところ、なんだか驚きです。

従事可能期間の判定など、ややこしい部分もあるので、素人判断は禁物です。国税庁電話相談セ
ンターか最寄りの税理士さん等にご相談なさることをおすすめします。

 

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