会社設立の際の公証人役場での定款認証に政府の実態調査~定款認証・面談なしのオンライン化検討に向けて

こんにちは。

和歌山市の女性税理士、内西です。


今回は、新聞の記事で興味を引かれた会社設立の際に必要な「定款認証」について思うところを書こうと思います。

株式会社の設立の際作成した定款は、公証人役場で公証人に「認証」してもらわねければなりません。

この「定款認証」が、形式だけのものになっており、公証人と、経営者との面談が必要であるにもかかわらす、面談が行われていない場合もあるようなのです。

だったら、もっと簡略化してもいいんじゃないの?

ということで、政府が調査に乗り出したようです。

「定款認証」面談なしのオンライン化検討

5月26日の朝日新聞の記事によると、会社設立の定款の認証制度をめぐっては、手続に時間がかかる、手数料が負担になるという意見も多く、政府の4年前の検討会でも「撤廃すべき」との意見が出ていたようです。

そもそも定款の認証制度は、公証人が経営者と直接会うことを義務づけ、会社が不正な目的で設立されることなどを防ぐためにできた制度です。

4年前の検討会でのこのような意見を受け、オンラインの仕組みは導入されたものの、現行の法律では経営者と公証人は直接会うかオンライン上で面談する決まりがあり、政府は公証人や経営者らへの聞き取りをして現場の状況を把握し、見直しの方向性を探るようです。

定款認証が不要な会社もある

国内のほとんどの会社が株式会社なので、認知度は低いのですが、会社の形態には、株式会社以外に「合名会社」「合資会社」「合同会社」があり、全部で4形態あります。

有名な大手の会社ではアマゾンジャパンや、Googleなどは合同会社の形態をとっています。このことから、昔に比べ、多少認知度は上がってはいるものの、やはり会社といえば、「株式会社」と考える人が多いでしょう。

この4形態の会社の中で、定款認証が必要なのは株式会社だけになります。

定款認証の手数料は2022年1月から資本金の額によって

3万円 4万円 5万円(順に資本金100万円未満 100万円以上300万円未満 300万円以上)

になっています。(それまでは一律5万円)

他の形態でももちろん定款は必要なのですが、定款に認証は不要で、会社の登記をするときに定款を添えて提出するだけでいいのです。

その他、会社の登記には「登録免許税」が必要で

株式会社なら15万円(又は資本金の0.7%)⇐いずれか大きい金額

合名、合資、合同会社なら6万円(合資会社については6万円か資本金の0.7%)⇐いずれか大きい金額

になっており、株式会社のほうが、費用の負担が大きくなっています。


よって株式会社を設立するには

定款認証 3万円 4万円 5万円 のいずれか

登録免許税 15万円(又は資本金の0.7%)

は絶対必要になってくるのです。


一方、合名、合資、合同会社を設立するには

定款認証 いらないので0円

登録免許税 6万円

6万円で済みます。(電子定款の場合)

株式会社はやはり社会的信用性が高い

設立にこんなに費用の差があるなんて、家族経営の小さな会社で上場なんて考えてないし、出資者も自分ひとり

安く設立できる合同会社にしよう!

と考えるのが普通です。

かくいう自分も合同会社を作りました。安いし上場するなんて考えてもいないからです。(そもそも無理)

過去ブログ👇👇

合同会社を自分で設立してみた~クラウド会計の会社設立・登記ネットを利用して6万円


けれど、実情、株式会社の社会的信用は高く、会社間の取引においても「株式会社」が条件になっていたり、融資の際も「株式会社」のほうが有利といえるようです。あくまで一般的な見解ですが。

そして株式会社は株式を発行するため上場することができますが、(上場している会社は全体の会社の数からするとほんの一握りの会社のみです)合名、合資、合同会社は上場できません。ここに大きな違いがあります。

もし、定款認証の面談なしのオンライン化が実現したら・・・

政府がまだ検討に先立つ実態調査に乗り出す段階で、あれこれ妄想しても意味がないのですが、もし実現したらどうなるのだろうと考えてみました。

株式会社設立の手間が減るということで、会社を設立するハードルが下がり、法人を設立する人が増える

(設立後の法人への負担(均等割の負担、社会保険料の負担等)は変わらないのでそう増えないかと思います。)

というのが普通の道筋ですが、

手間が省けるのはオンラインになったから。

でも、オンライン手続は果たして誰にでもできる簡単なものなのだろうか?

あまり簡単だとなりすまし、ペーパーカンパニーなど設立しやすくなってしまう危険を考えると、やはりお手軽とはいえないシステムなのではと思う。

結果、オンラインのシステムの利用が難しくて結局、オンライン化が広まらないのでは・・・・

と、

このようにとっさに妄想してしまいました。


簡単便利かつ安全の両立は難しい

どんな事柄にもいい面があれば、その逆の面もあります。

スマホで簡単に決済できるモバイル決済が普及したのは、簡単便利だからです。簡単でなければ、便利なものでもそれは不便になり普及はしません。

また、簡単便利であるために起こる犯罪もあります。

阿武町の4630万円の誤送金された人がスマホを通して次々ネットカジノに大金を送金していましたが、便利なシステムがなければできなかったでしょう。(自分的に経済観念が違いすぎて理解ができませんが・・・)

簡単便利かつ不正などの防止も完璧なシステム・・・理想ではあるけれど、とても難しいことだと思います。

e-Taxもずいぶん普及しています。

ではこの定款認証も!!

と思わなくはないけれど、確定申告は毎年で慣れてきますが、定款認証は普通一生に1回・・・

などと、終わらない妄想を繰り広げてしまいました。



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