日本の非居住者の方の日本の証券口座〜株の譲渡益、配当に係る税金はどうなる

こんにちは。

和歌山市の女性税理士、内西です。


海外勤務になり、

日本の証券会社の口座に株を残したまま出国してしまった。

その株を、これまで通り、海外で売ったり買ったりできるのでしょうか?

税金はどうなるのでしょう?

確定申告はすべきなのでしょうか?

注:以下は、日本の非居住者(海外に一年以上の期間在住予定の方)かつ日本に恒久的施設を持たない方
に対する解説になっています。

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非居住者になると、原則株の購入はSTOP

口座に残っている株を売ることは出来ますが、新たに購入することは出来なくなります。

ですが、非居住者になることを証券会社に伝えて手続きをしない場合、

株は通常通り(ネット上で)売ることができます。

証券会社が、非居住者になったことを知らないからです。

日本の居住者と同じように、購入もできるし、売ることが出来ます。


証券会社に非居住者であることを伝えると、

まず、特定口座は一般口座に移すか、口座を廃止する手続きをすることになります。

証券会社によって対応はまちまちです。

一般口座をそのまま持っている場合でも、

新たな株の購入はできなくなります。


非居住者であることを伝えなかった場合、そのまま株取引はできてしまうのですが、

非居住者であることを証券会社が把握すると、

直ちに株の購入ができなくなります。

非居住者が一般口座で海外から株を売るとどうなる?

一般口座なので、

源泉徴収されません。

では、居住者のように確定申告が必要なのかというと、

非居住者の場合、一定の場合※を除き、

株の譲渡による所得は、日本では申告の必要がありません。

居住国での申告になります。

日本では、株の譲渡による所得は、国外源泉所得に区分され、(一定の株を除く)

非居住者は、国外源泉所得に関しては、日本での申告は必要ありません。

よって、日本では何もする必要はありません。

居住国での申告になりますので、居住国の税法に従ってください。

注意は、日本に帰国した時に売ってしまうと、日本の居住者と同じように日本の税金がかかりますので、

注意です。

※一定の場合は以下の株を譲渡した場合です

国税庁HPより

非居住者が特定口座で海外から株を売るとどうなる?

基本、非居住者は特定口座を持つことができません。

出国の時までに手続きをして、一般口座に移すか、日本で売却して廃止することになります。

手続きをせず、そのまま出国してしまい、

日本にいる時と同じように株を売却したらどうなるのでしょうか?

証券会社は、非居住者であることを把握していないので、

そのまま、特定口座ですから、売却益が出ると、そこから、

源泉所得税の15.315%

住民税の5%

の、合計20.315%控除されてしまいます。


非居住者は、株の譲渡による所得は国外源泉所得に該当するため、日本で税金はかかりません。(一定の株の譲渡を除く)


それでは、この控除された税金はとりもどすことができるのでしょうか?

手続きは証券会社を通す必要あり

特定口座のまま非居住者が株を売却してしまった場合、

居住者とおなじように売却益から源泉徴収されてしまいます。

この還付についてですが、

こちらについては、

証券会社の源泉徴収の誤りになるため、

還付の手続きについては

証券会社を通じて、還付をしてもらう必要があります。


ですが、証券会社によっては、

「お客様のほうで税務署等にご相談いただきご自分で手続きしてください。」

と伝えられるケースがあり、証券会社が手続きをしてくれない(対応してくれない)場合があります。


それでは非居住者が、

納税管理人をたてこの株の取引について、

確定申告書を提出して、

還付を受けることができるのかというと、

税務署の返答では、

「そもそも、証券会社の源泉徴収の誤りになりますので、源泉徴収の誤りは、実際に源泉徴収を行なった証券会社が、税務署に誤りを申告して還付を受けるという流れになっており、たとえ、非居住者からの確定申告書が提出されたとしても、差し戻されるでしょう。」

との返答でした。

「非居住者になっていることを知らずに源泉徴収した証券会社の責任です。」

という厳しい返答でした・・・

非居住者は特定口座で株を売らない!売るなら一般口座に移してからにしよう

源泉を取り戻すべく、証券会社とやりとりするのも一つの方法ではありますが、

大変です。

非居住者になったことを伝えて手続きしていなかった自分にも負い目がありますし・・

あまりきつく「証券会社の責任でしょう!!」とは言えません。

こんな面倒に巻き込まれないためにも、

非居住者になったら、

・特定口座の株を売らない

・売るなら、証券会社に事情を話し、

 特定口座から一般口座に株を移す手続きをしてから売る

ようにしましょう。

一般口座では、源泉徴収はされません。

日本では放っておけばいいのです。

格段に楽です。

配当から源泉徴収されている税金はどうなる?

配当所得は、株の譲渡とは違い、

国内源泉所得になります。

非居住者は、国内源泉所得については、税金がかかります。

よって、控除された税金は戻りません。

また、源泉徴収されているため、日本での確定申告は必要ありません。

配当に関して、証券会社に非居住者になることを伝えて手続きをすると、

住民税の5%が徴収されません。

また、居住国と日本との租税条約により、

配当所得の源泉徴収税の率が低く定められている場合、

そちらの低い方の税率で源泉徴収されます。

こちらも証券会社での手続きになります。

(詳しくは各証券会社にお問い合わせして手続きを進めることになります。)

まとめ

非居住者になるなら、証券会社に手続きを踏んでから出国する方が、

税金に関し有利です。

また、NISA、積立NISAの非課税の特例は、

居住者のみになっており、

非居住者であった期間について、配当に関しては税金が遡って徴収される可能性があります。

うっかり株を売ってしまって無駄な税金を源泉徴収されないためにも、

出国前に手続きを!!




(注)当ホームページに記載しております情報の正確性については万全を期しておりますが、 これらの情報に基づき利用者自らが税務申告や各種手続きをされた場合の税務上その他 一切の法律上の責任は保障することはできませんのでご了承ください。


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