インボイス制度~従業員に支払う通勤手当、出張旅費、宿泊費、日当等の仕入税額控除

こんにちは!!

和歌山市の女性税理士 内西です。

今回もインボイスのテーマです。

従業員に支払った通勤手当、出張旅費、宿泊費、日当等はインボイスがないけれど、仕入税額控除ができないのか?

R5年10月から始まるインボイス制度では、仕入税額控除の要件として、インボイスの保存が必須になっています。

従業員は事業者ではないので、もちろんインボイスを発行することはできません。

インボイス制度のもとでは従業員に支払うこれらの費用は仕入税額控除ができなくなるのでしょうか?

インボイスの交付を受けることが困難である取引については、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められています。
↓※

↓※を見てみると、どの取引もインボイスの交付を受けることが困難な取引ばかりです。

最後の❾に次のように記載されています!!

「❾従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)」

よかったー

今まで通り仕入税額控除できるんだー

と、喜んでばかりもいられません。

インボイスがない分、一定の事項の記載のある帳簿の保存がいるのです!!

しかも通常必要と認めらる金額を超える金額は仕入税額控除の対象外になります。(インボイス制度が始まらなくても元々対象外ですが)

 

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通常必要と認められる出張旅費等のみ仕入税額控除できる

通常でないあまりに高額な出張旅費等などは仕入税額控除ができないということです。

この「通常必要な」というところの判定に関しては所得税法基本通達9-3※※に基づき判定することになります。


出張旅費・宿泊費・日当
所得税の非課税の範囲内において(つまり会社側で福利厚生費や旅費として経費にでき、従業員の給料として源泉所得税を徴収しなくてもいい範囲)一定の事項の記載のある帳簿の保存のみで仕入税額控除の対象になります。
通常でない不相当に高額な部分は従業員の給料として取り扱います。給料は消費税は対象外のため仕入税額控除の対象外になります。→これまでと同じ取り扱い

蛇足:役員は注意です!高額な出張費は税務調査で否認されると役員賞与とされ、消費税の仕入税額控除はできませんし、出張費が損金に算入されないばかりか役員の賞与にかかる源泉所得税をとられてしまいます。会社には、旅費規定を作っておくのが安全です。


通勤手当
通勤手当として不相当に高額な金額でない限り、通勤者につき通常認められる金額であれば、その全体が一定の事項の記載のある帳簿の保存のみで仕入税額控除の対象となります。この場合で所得税が非課税とされる通勤手当の金額を超えていたとしても、その全体が仕入税額控除の対象となります。所得税の非課税枠を超えた通勤手当も非課税枠内におさまった通勤手当と一緒に仕入税額控除ができるということです。

仕入税額控除ができないのは不相当に高額とされた部分の通勤手当のみです!

出張旅費等が、「給料とされたら仕入税額控除不可」なので、混乱して、通勤手当の所得税の非課税枠を超えたら超えた部分は仕入税額控除不可に違いない!!と、勘違いしないように注意が必要です。→これもこれまでと同じ取り扱い

一定の事項の記載のある帳簿の保存

一定の事項ってなんだろう?

さらっと読み飛ばしてしまいそうですが一定の記載は重要です。記載がないと仕入税額控除ができません!

今まで通りの帳簿の記載事項に次の事項を一つ追加するだけです。

「帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨」

の❶から❾迄のどれかに該当してるんですよ。だからインボイスの保存がなくても仕入税額控除しているんです。」 ということをわかりやすく記載しろということですね。

「❾に該当しているんです」 ということをわかりやすく記載します。

従業員に支給する通勤手当 従業員に支給する出張費 

このような記載でOKです。 

7月7日に従業員の内西に大阪出張費1万円を現金で支給した場合

7/7
旅費 1万円 / 現金 1万円 (内西 大阪への出張費 従業員に支給する出張費

といったような仕訳と摘要になります。

↑※帳簿の記載のみで仕入税額控除が認められる場合

❶適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送

❷適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(❶に該当するものを除きます。)

❸古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物
(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

❹質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物
(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得

❺宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物
(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

❻適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品
(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

❼適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び
自動サービス機からの商品の購入等

❽適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス
(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

※※

参考 所得税基本通達9-3
法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。

(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

いかがでしたか?

結論はインボイス制度が始まっても仕入税額控除はできますが、帳簿に追加事項の記載を忘れずに ということですね!!

参考

当事務所のインボイス関連のブログ

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インボイス制度がR5.10.1から導入~消費税簡易課税事業者への影響

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