小規模企業共済に加入し掛金を支払うと、所得税の節税になる?~小規模事業者(個人)の場合の解説
こんにちは!
和歌山市の女性税理士、内西です。
小規模事業者の所得税の節税対策として、「小規模企業共済制度」を聞くことがあると思いますが、
そもそもこれらはどんなものなのでしょう?
小規模企業共済制度とは?
小規模事業共済制度とは、国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している制度で、小規模企業の個人事業主、共同経営者又は会社等の役員の積み立てによる退職金制度です。
積立金額は一か月最低1,000円~最高70,000円の間で選べます。年の途中で積立金額を減額、増額することができます。
そして1年間で積み立てた金額は、その年の確定申告で、「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除を受けることができ、所得税、住民税の節税につながります。
退職金制度なので、理由もなく単に解約すると(任意解約)、掛金納付月数が240ヵ月(20年)未満の場合は解約手当金は掛金を下回ります。
この共済は、小規模企業の個人事業主たちが第一線を退いた時の生活の安定又は事業の再建等を図る資金をあらかじめ準備しておくための共済制度です。よって、個人事業の廃業等の事由が起こったときに今まで積み立ててきた掛金に定められた利率分を上乗せした共済金が支払われることになります。
「A共済事由」「B共済事由」「準共済事由」「解約事由」があります。
以下、個人事業主の場合について解説していきます。
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個人事業主でどんな人が入れるの?
加入資格
・建設業、製造業、運輸業、不動産業、農業、サービス業(宿泊業、娯楽業に限る)等を営む場合は常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主
・商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が、5人以下の個人事業主
※常時使用する従業員には、家族従業員、臨時の従業員は含みません。
※2以上の事業を行っている事業主は「主たる事業の業種」で加入
共済事由は?
A共済事由
個人事業主の廃業(すべての事業を廃止している必要があります。一部廃業は不可)
個人事業主の死亡
B共済事由
老齢給付(65歳以上で180か月(15年)以上掛金を納付した人)
請求することにより共済金をもらえます
準共済事由
法人成りをし、その会社の役員に就任しなかった
法人成りをし、その会社の役員に就任したが、小規模企業者ではない
解約事由
任意解約
中小機構による共済契約の解除
(12か月以上の滞納など)
法人成りをし、その会社の役員に就任し、小規模企業者となった
参考までに分かりやすいフローチャートを載せておきます
(平成23年1月以降加入の個人事業者の場合のフローチャートです)
また、それぞれの共済事由における共済金は次の通りとなっています。
※共済金A・共済金B・準共済金の額は源泉徴収前の共済金等の額です。したがって掛金月額、契約期間によっては、手取額が掛金合計額を下回る場合があります。
個人事業主として加入していて法人成りをしようと思うが解約手当金になってしまう!?
上のフローチャートでは個人事業主が法人成りをし、役員に就任して小規模企業者になった場合、共済事由が解約手当金となっています。まだ加入して日が浅いと、元本割れするのでは…
共済事由に該当していても、「通算申出書兼契約申込書」に必要書類を添えて手続きをすることで、引き続き加入することができ、個人時代の掛金納付月数を通算して共済契約を続けられます。
小規模企業共済は、個人事業主だけでなく小規模企業の役員であっても加入することができます。
なので、共済事由に該当したからといって共済金を請求するのではなく、法人の役員として引き続き加入すれば、法人の役員となった後でも、一年間支払った掛金全額、その役員の年末調整の時に所得控除を受けることができて、節税になります。
まとめ
この共済は、年の途中であっても掛金を1,000円から70,000円まで自由に減額や増額をすることができます。
よって、個人事業主の事業の状況に応じて、資金繰りが苦しい時には減額し、余裕が出て節税をしようというときには増額をするという調整ができます。
掛金月額1万円の場合の共済金の表を見てわかるように、率のいい共済事由A,Bで共済金をもらいましょう!
事業の利益が出ないときには解約をするのではなく最低金額月額1,000円に変更し継続することをおすすめします。
なかなか自分でお金を貯めることは難しいです。
節税にもつながりますし、ぜひこの共済を活用し、事業主自身の引退後の退職金を積み立てていきましょう!!
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