3万円未満のレシート紛失の場合 帳簿の記載のみで足りる 消費税 仕入税額控除の要件と保存書類

「3万円未満はレシートなくしても大丈夫!!帳簿に記載しておいたら控除が認められるよ!!」

と、聞くことがあります。

これは、消費税の課税事業者で本則課税を選択している会社の場合、3万円未満のレシート(領収書)がない場合でも一定の事項の記載のある帳簿の保存があれば、消費税の納税額の計算にあたって仕入税額控除ができる、というものです。

一定の事項の記載
 課税仕入れの場合
1 課税仕入れの相手方の氏名又は名称 誰から
2 課税仕入れを行った年月日 いつ
3 課税仕入れに係る資産又は役務の内容(その課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨) 何を
4 課税仕入れに係る支払対価の額 いくら
 (消費税額及び地方消費税額に相当する額を含みます。

帳簿に上記①~④の記載があれば、3万円未満であれば、レシートがなくても仕入税額控除ができます。

例えば

22,000円(税込み)で事務所の棚を購入し、その出金を会計ソフトに入力はしたが、レシートを紛失した。

こんな場合でもソフトに

「いつ 誰から 何を いくらで」 

買ったかを、入力していれば消費税分の2,000円を仕入税額控除として控除することができます。

例えば3万円未満であれば、クレジット会社から送られてくるクレジットカードの利用明細の一覧のみで、一定の事項を記載した帳簿があれば、レシートの保存がなくても仕入税額控除ができます!

3万円以上の場合には、購入先の事業者が発行したレシートや領収書が必要になります。

クレジットカードの利用明細は、カード会社が発行したもので、商品を売った事業者が発行したものではないため、仕入税額控除を受けるために必要な請求書等に当てはまりません。

ここで誤解しやすい3万円の判定について

一回の取引の課税仕入れに係る税込みの金額が3万円未満かどうかで判定するのであるから、課税仕入れに係る一商品ごとの税込金額等によるものではないことに留意する。(消基通11-6-2)

レシートでいうと商品一つ一つで判定していくのではなくてレシート一枚の合計額が3万円未満かどうかで判定するということです。なんと商品一つ一つ別個の金額で判定するのではないのです。・・・なかなか微妙な国税庁に仕掛けられたトラップのように感じてしまいます・・・

所得税・法人税には上記のような規定はない

そもそも、所得税や法人税には消費税のように経費に算入する要件として、請求書、領収書の記載事項などを定めていません。これらの請求書や領収書等は経費に算入するための要件ではなく、証拠資料という位置づけになっています。

請求書や領収書は大切な証拠資料となるため保存については、記載事項等消費税法にならったものを保存しておけば間違いはありません。

消費税に倣うといっても3万円未満は法人税も所得税も請求書やレシート等が必要ないのかといわれれば、あくまで消費税法の規定なので、おいておくに越したことはないでしょう。

なくしてしまった場合は再発行を試み、ダメな場合は、支払証明書、出金伝票を切っておくなど、証拠として、残しておくことが必要です。支払いの事実を証明できればいいのです。

以下の事項の記載が必要です。

・作成者

・支払先

・支払い年月日

・領収書の但し書きに相当する内容の記入

・支払金額(税込み)

ないよりはマシとはいえ、レシートや領収書に比べると支出の証明としてはかなり劣っているので、ほかの証拠になるようなもの、備品購入費であれば購入後の商品の写真とか、交際費であれば招待状、香典などであれば、会葬御礼、といったものを残しておきましょう!

支払証明書や出金伝票があれば大丈夫なのか!!なくしても安心じゃないか!!というとそうでもありません。

会社に税務署が調査に来た時には、領収書等がもらえる取引にもかかわらず支払証明書が多かったりすると、架空経費を疑われるでしょうし、反面調査といって支払先に確かに売上に上がっているかどうかを確認する調査を行うことがあります。そうなれば、支払先にも時間をとらせるという迷惑をかけることにもなるため、なるべく紛失することのないようにしていきたいですね!!

消費税の本則課税「仕入れ税額控除」の要件

その課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び当該課税仕入れ等の税額の控除に係る請求書等(金地金等の課税仕入れについては、その課税仕入れの相手方の本人確認書類(住民票の写し等)を含む。)の保存があることが適用要件とされており、これらの保存のない課税仕入れ又は課税貨物に係る税額については、税額控除の適用がない(消法30⑦本文⑩)

支払った消費税を控除してもらうためには

その仕入れ等にかかる帳簿

その仕入れ等にかかる請求書等

の保存があることが必要になってきます。

この例外として

●災害その他やむを得ない事情によって、保存をすることができなかったことを事業者において証明した場合は、一定の事項の記載のある帳簿のみでOK

●課税仕入れに係る支払対価の合計額が3万円未満である場合は、一定の事項の記載のある帳簿のみでOK

●課税仕入れに係る支払対価の合計額が3万円以上で請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合において、一定の事項が記載された帳簿に加えて当該やむを得ない理由及び相手方の住所又は所在地を記載(※)しているときは、その帳簿のみでOK

※記載を省略できる場合あり こちら(課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載しなくてもよいものとして国税庁長官が指定する者の範囲)国税庁HP

やむを得ない理由とは

  1.  自動販売機を利用して課税仕入れを行った場合 レシートでないから無理
  2.  入場券、乗車券、搭乗券等のように課税仕入れに係る証明書類が資産の譲渡等を受ける時に資産の譲渡等を行う者により回収されることとなっている場合 残らないから無理
  3.  課税仕入れを行った者が課税仕入れの相手方に請求書等の交付を請求したが、交付を受けられなかった場合 もらえないからどうしようもない
  4.  課税仕入れを行った場合において、その課税仕入れを行った課税期間の末日までにその支払対価の額が確定していない場合
      なお、この場合には、その後支払対価の額が確定した時に課税仕入れの相手方から請求書等の交付を受け保存するものとする。
  5.  その他、これらに準ずる理由により請求書等の交付を受けられなかった場合


消費税の仕入れ税額控除の適用を受けるためには、このように要件が決まっています。

あとで税務署に否認されないためにも、日々コツコツ領収書、請求書等を保存しておきましょう。

令和5年10月から、支払い対価の額の合計額3万円未満の取引について、帳簿記載のみでは仕入税額控除を受けられなくなる

令和5年10月から、消費税の税額控除方式が、現行の区分記載請求書等保存方式から、適格請求書等保存方式に変わることに伴い、3万円未満の取引であっても、適格請求書(インボイス)の保存がなければ、仕入税額控除ができなくなります。

インボイスがなくても仕入れ税額控除ができる取引としては、以下にあげる取引のみとなります。

  1. 3万円未満の公共交通機関を利用した際の乗車券(3万円以上はインボイスがいります)
  2. 自動販売機でのジュースの購入 → 発行されませんので
  3. ポスト投函(とうかん)での郵便サービスの利用※※
  4. 出入り口で回収される入場券 → 残らないから無理です
  5. 従業員に支給する日当や宿泊費 → 従業員はインボイスを発行できませんから
  6. 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源等の購入
    (請求書等の送付が困難で、一定事項が記載された帳簿が保存される場合に限る)
  7. 古物商等が適格請求書発行事業者でない者から購入した棚卸資産

※※切手の購入は消費税は非課税取引になります。その切手をはがきや封筒に貼ってポストに投函して初めて課税仕入れとなります。ポストに入れたとたんポストから適格請求書が飛び出てくるわけはありませんからこのように書かれています。切手類は購入時は非課税取引、使用して初めて課税取引。実務上は簡便的に購入時にすべて課税仕入れとして処理します。

適格請求書発行事業者でない者とは一般消費者のことを言います。

例えば、奥さんがリサイクルショップ屋さんにいらなくなってまだ使える家電製品とか子供が大きくなって着れなくなった洋服とか売りに行ったとします。でも、奥さんは売ったからといって、領収書を発行しませんよね。ましてや適格請求書なんて発行できるわけがありません。なので、このような場合はリサイクルショップ(買い手)さんが帳簿に一定の記載をすることで、税額控除を適用できることとなっています。

上記7つのケースについては、一定の要件を満たす帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。

R5年10月から始まるインボイス制度の内容についてはまた取り上げようと思います。

とにかく、帳簿記載のみでいいのはあと少しの期間ということになります。今から、レシートをきっちり置いておく癖をつけるようにしていくのがいいでしょうね!!


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